忍者ブログ
HOME Admin Write

双月宮ブログ

双月宮で使用しているブログです。 何か御用のある方は、「コメント」機能をご利用ください。

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

バイエさんに絵を一枚送りました。
バイエさんのオリジナルストーリーに出てくる、〈魔眼〉クライブ・ヴァシュタールさんです。
渋いおじさんです(たぶん)。

どんな絵を送ったのかは、バイエさんの所でご確認ください。
丸っこいです(ぇ)。



……ぢつは、その絵を描いている時、私はクライブさんにイタズラ書きをしていました(笑)。
それに基づく小ネタをどうぞ。

 ヴァレンヌで随一の美しさを誇るというヴァル・ディア城。その一角に黒い石造りの塔があった。その塔は星読みの塔と呼ばれ、公国最高の魔術師が後進の指導をする場として使われている。
 今日はそこに二人の女性がいた。
「今日の授業はここまでにしましょうか」
 褐色の肌にしっとりとした銀髪の美女が微笑んだ。この国の重鎮の一人、アムネル・ラ・ネーシスである。
「次の講義の日までに、このページまで読んでおいてくださるかしら」
「はい」
 アムネルの生徒である、ルーシ・イ・ヘルプストはこくりと頷いた。彼女の頭の動きにつられるように、夕陽色の髪がさらりと揺れる。
「今日はこの後、どうする予定?」
「あ、はい。今日はイレーネ様がお屋敷に戻られる日ですから、帰りにお買い物をしていこうかと……」
「あら、素敵ね。貴女のお料理は美味しいとイレーネさんが仰っていたから、わたくしもご相伴したいくらいだわ」
「きょ、恐縮ですぅ……」
 この国へ来てから師と仰いでいる女性に、にわかに褒められてルーシは顔を真っ赤にした。
 アムネルはそんな弟子の様子を可笑しそうに眺めている。
 人見知りが激しいものの、聡明で物覚えの良い少女はアムネルにとって自慢の弟子になりそうである。惜しむらくは少女が生まれ持った得意分野が、自分の専門分野とは異なることだ。いずれは自分の手元から手放さなければならない日が来るだろう。
 だが、それはまだ先のことだ。グリューネエルフであるルーシも、ダークエルフである自身も長い寿命を持っている。学問にじっくり打ち込むことができるのだ。自分が教えられることがなくなる日まで、たっぷりこの弟子を可愛がることにしようと思っている。
 アムネルは自分の公務のことを思い出し、気持ちを切り替えた。そろそろ陛下の所に行かねばならない時間だ。
「さて、片付けましょうか」
「はい!」
 二人は席を立つと、授業に使った資料をまとめ、書架へと戻し始めた。

「あ……」
 一抱えもある魔術書を本棚へ押し込んだら、斜め上の段から別の本が飛び出してきた。空気圧のせいだろうか? そう思いながらルーシは落ちた本を拾い上げた。
 すると、本の間から一枚の紙切れが舞い落ちた。栞代わりに使われていたのだろうか。
「あれ? これって……」
 紙片を拾い、そこに描かれたものを見たルーシは目を大きく見開いた。
「アムネル師、こちらは……その、どういたしましょう?」
 別の書架の前にいる師匠へ問いかけた。
「あらあら、そんな所にあったのねぇ。ふふふ、懐かしいわ」
 ルーシから紙片を受け取ると、アムネルは口元に手を当てて、くすくすと笑いだした。ただ笑っているだけなのにアムネルの姿は非常に美しい。そもそ普段の挙措からして優雅だ。体型やら纏っている雰囲気やら、どうして同じ女なのにこんなに違うのかなぁ……とルーシは年頃の少女らしいことをちらと考えた。
「これ、昔作ったものなのよ」
 アムネルはルーシに再度、紙片を持たせると解説を始めた。
 フォシルが父君から王位を継いで間もない頃の出来事である。
 当時はまだ公国も磐石とはいえず、さまざまな問題があった。その中のひとつが財政問題である。体制が変わり何かと物入りな時期であったため、財政はいつも苦しかった。それを打破するべく――とはいかないまでも、少しでも国費の足しにということで発足した事業があった。
 その内容は、美男美女揃いの公国要人たちのオフィシャルグッズを販売するというものだった。もちろん、多数の官吏たちから反対意見が出た。しかし、陛下を始め、文官武官たちを公国の民が気に入ってくれれば、それはそのまま国威掲揚に繋がるということで、この案は採用されたのである。
「安価に作れて、購入がしやすいということで、まずは絵葉書から作ったのよ。ここは以前から、交易の拠点だったから、地方から来た者たちがお土産として買うということもあったようね」
「はぁ……」
「男性陣での一番人気はもちろんゼール殿。女性陣ではレーラ殿とアンナさんで人気を二分していたわ」
「それで、これもそのうちの一つ」
「そう。あの人の場合、そのままだと売れないと思って、担当部署の者が可愛くしてしまったのね……ホント、懐かしいわ」
 往時を振り返り、感情のこもった瞳でアムネルは絵葉書を見つめた。
 が、にわかに再びくすくすと笑い出した。
「これ、ここね。頬がほんのり色づいているでしょう。わたくしがここに果物の汁をこぼしてしまったせいなの。でも、それが丁度いい位置だったものだから、とっても可笑しくて。本人に見せたら燃やされてしまいそうだから、ずっと今まで私だけの秘密にしておいたのよ」
 ふふふ、と笑いながらアムネルは久しく行方不明になっていた宝物を小箱にしまった。
「それでは、わたくしはフォシル様の所へ行きますから。また次の講義の時にお会いしましょうね」
「は、はい。よろしくお願いします」
 去り行くアムネルの後姿を見送ると、ルーシはゆっくりと微笑した。
(葉書の中のクライブ様、可愛かったです。他の皆さんはどんな風だったのでしょうか……)
 自分自身の姿が、すでに私製グッズとして売り買いされているとは露知らず、師匠の子供のような一面を新たに知った少女は、安堵しながら部屋を後にした。

→アムネルさんの宝物
PR
この記事へのコメント
お名前
タイトル
メールアドレス
URL
文字色
絵文字 Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
コメント
パスワード   コメント編集用パスワード
 管理人のみ閲覧
この記事へのトラックバック
トラックバックURL:
カレンダー
09 2018/10 11
S M T W T F S
1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31

フリーエリア

最新コメント
[03/01 クラ]
[12/15 くろ☆管理人]
[12/14 小早川皐]
[08/29 くろ]
[08/29 kumakuma]

最新トラックバック

プロフィール
HN:
くろ
HP:
性別:
非公開
職業:
アペリス教の信者
趣味:
エリクール設定捏造
自己紹介:
趣味で細々と執筆・描画しております。SO3のエリクール関係のネタを与えると喜びます。

バーコード
ブログ内検索

最古記事
カウンター

Copyright ©  -- 双月宮ブログ --  All Rights Reserved
Design by CriCri / Material by 押し花とアイコン / powered by NINJA TOOLS / 忍者ブログ / [PR]